夢を紡ぐ

メンテナンス後のスーツは、購入したてのスーツより美しい。

洋服の思い出に寄り添う。

洋服の思い出に寄り添う。

このような仕事をしていると、お客様から意外なオーダーがあります。

 

以前、お客様から思いがけない依頼がありました。

 

それは、ある部分の汚れだけを落とさずに、メンテナンスしてもらいたいとのことでした。

 

持ち込まれたのは、白い生なりのブリオーニのスーツ。

 

ジャケットの胸部分に、明らかにファンデーションのような化粧品の付着が確認できます。

 

お客様のお話しによると、お嬢様の結婚式で一緒に踊ったダンスでついたものとのことでした。

 

それを 「思い出」として残しておきたいと…

 

お客様は、お嬢様の結婚式のことを嬉しそうに、また寂しそうにお話をされました。

 

僕は、その式の情景を頭に浮かべながら、お話をきいていたことを覚えています。

 

心に残った仕事の一つです。

 

 

 

時々年配のお客様から、何十年も前の洋服の依頼があります。

 

お客様の生活レベルを考えれば、新しい洋服を簡単に購入できるのに、あえてお金をかけてメンテナンスして着用したい。

 

きっと、その洋服には沢山の良い思い出が残っているんだな、と考えるようになりました。

 

お客様と昔話に花を咲かせる事ができるのも、この仕事の良いところだと思います。

これからも心が豊かな仕事をしていければいいなあと思っています。

 

 

 

20年近く前のイヴ・サンローラン

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ABOUT THE AUTHOR

久田 良一
テーラーリングの技術をフィードバックして、スーツのメンテナンスの方法を樹立。
スーツを触診すれば、着た回数、状態まで理解することができる。
イタリアラグジュアリースーツを中心にしたメンテナンスを10年、扱ったスーツは3万着を超える。

夢はクリーニングの概念を超えた、re-creatorリ・クリエータの存在を日本に根付かせ、世界に広めること。

詳しくはこちら
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