夢を紡ぐ

メンテナンス後のスーツは、購入したてのスーツより美しい。

スーツの re-creator(リ・クリエイター)の仕事とは

 

 「スーツのリ・クリエイター」

僕の仕事は “スーツを再構築” することなので、僕は自分のことを “スーツのリ・クリエイター” と呼ぶことにしています。

スーツの再構築とは、絵画の修復師がそれであるように、作り手、作者に敬意を払う為に生まれた技術であると思っています。

だからこそ、”それを作り変えてはいけないし、越えてもいけない”
この仕事の内容を皆さんに説明しなければ、クリーニングの延長線上の仕事と捉えられてしまう、だから
今までのクリーニングの概念ではない、全く考え方の違う仕事が存在することを一つの例を取り上げて説明したいと思います。

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この写真は以前に、Facebookで取り上げた事が有るので見られた方もいると思いますが、今回はもう少し詳しく説明したいと思います。

 

このジャケットはブリオーニ、ハンドメード作られています。
残念ながらお客様はリーズナブルなクリーニング店に何回も出されていたようです。
何回も出してしまった結果が、表から見るとダメージが分かりにくいのですが、割りが起き上がり、ポケットの袋は折れ曲がり、生地がホツれて
裏地をめくるとこんな状態です。

でもなぜこんな状態になるのでしょう?
このジャケットは水洗いしたわけではなく、ドライクリーニングによる処理です。
ドライクリーニングの溶剤は、繊維に変化を起こさずに洗うはずなのですが、溶剤の管理が悪かったりすると溶剤の中に水分を含んでいることがあります。
また水溶性の汚れを取るために敢えて水分をチャージする場合が有ります。
そんな状態で機械の中で揉まれながら洗われた結果がこのような現象を引き起こすと思われます。

ドライクリーニングでも、揉まれながら洗うとダメージを与えてしまいます。

そして洋服の事を知らずに水洗いすれば、もっと悲惨な状態になってしまいます。
でも僕はスーツを、リ・クリエート(再構築)する時は水洗いを基本に考えます。
水洗いは、汚れを取るだけでなく生地の風合いを回復するためでもあります。

しかし水洗いをすることは、スーツの構造を理解し熟知していなくては、スーツを壊してしまいます。DSC_0171

高度な技術で作られたスーツは、水洗いすることで起きる問題を防いだ上で洗わなければいけません。
あまり詳しくは書けませんが、簡単に言うと洋服を固定してから水洗いに入ると言うこと。
そして水の中でも極力動かさない、それほど繊細に優しく洗わなければなりません。
そしてスーツの中には水洗いに向かないものもあります、スーツに使われている芯地の特性を調べないといけません。

例えば他のものに置き換えてお話しすると、高性能なスポーツカーに置き換えてお話しします。

スポーツカーを構成しているエンジン、シャーシ、サスペンション、ボディ、ホイール、タイヤなど多くの部品が組合わさり一台のスポーツカーが出来上がります。
“スーツを洗う”と言うことはスポーツカーで例えると、全てのパーツに影響を与えると言うことです。
大袈裟に言うとスポーツカーのエンジンやサスペンションを分解して、もう一度組み上げる作業と言えば良いでしょうか。
そこで大事な事は、高性能な車を維持していること、性能が落ちてしまうようなメンテナンスではダメなのです。
熟練の技術と知識、経験がものを言います。
今回は洗う事をテーマに書きましたが、スーツのリ・クリエイト(再構築)は先ずは診断から始まります。
次回はその診断について書きたいと思います。

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