夢を紡ぐ

メンテナンス後のスーツは、購入したてのスーツより美しい。

オーダーメイドのパンツをリ・クリエイトする

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僕はこれまで数千点のオーダーされたスーツやパンツを診てきた。
仕事を通して蓄えられたノウハウや経験は、僕の「財産」となった。

オーダーメイドのパンツは、着用される方が一番美しく見えるよう、完成するまで何度も微調整を繰り返し作られた、ひとつの芸術作品である。

そのような一点物のパンツを我々はどう “お手入れ” すべきなのか?

僕の仕事は、汚れを落とすだけの表面的な仕事ではない。
医療で例えるなら、洋服の「外科医 」「内科医」 なのかもしれないし、絵画なら修復師に当たるような仕事だと思う。
そして洋服のもつ美しさを理解する感性も必要になる。

パンツをリ・クリエイトするということは、作り手の視点になって、「再構築」=「本来あるべき姿」に戻すということである。PhotoGrid_1488602001241

パンツにセンタークリースがあることで前から見ても、後ろから見ても、横から見ても美しいライン(シルエット)ができる。
だからこそ、その “クリースライン” の位置を自己流で変えてはいけない。
なぜなら、それは本来のあるべき姿ではなくなってしまう。
オーダーメイドの洋服は緻密に計算された建築物のようなものだ。そう考えると
設計図のような物を作り、それを基に作業をすすめるのが筋である。
(設計図と言ってもそんな大袈裟なものではありません)

これは僕の仕事ではとても重要なファクターだ。

だから僕はあえて自分の仕事を表現する時、「メンテナンス」ではなくリ・クリエイト(再構築)という言葉を使うようにしている。

ここ最近、水洗いをするクリーニング屋さんが増えた。それに伴いトラブルを抱えるケースも増えた。

ある一定以上汚れが進んだものはドライクリーニングでは限界があるので、水洗いのほうが良い物もある。

ただ、原型を無くした(水洗いした後の)洋服の再生に、どれほどのクリーニング屋さんが、神経を使いきちんと対応できているのか…

一番分かっているのは、その洋服のオーナーかもしれない。

リ・クリエイト(再構築)とはどれだけ正確に作られた状態に戻せるか、そこに尽きる。

 

 

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